始まる前に整えておくこと

紙を配るレクは、当日机に着いてから慌てないための準備が大半を占めます。刷る枚数は、参加予定人数に2〜3枚の予備を足しておきます。予備は同じ束の中の1枚で構いません。早く終わった人に渡す分、書き損じた分、当日の参加人数が見込みより増えた分を、この予備でまかなえます。

鉛筆と消しゴムは、利用者さん任せにせず職員側で人数分そろえておきます。芯が丸まった鉛筆や細すぎる軸は、書き込む手が止まる原因になります。下敷きや厚紙を1枚ずつ挟んでおくと、机の継ぎ目やクロスの凹凸で書きにくくなるのを防げます。

配る紙をどの種類にするかも、この段階で決めておきます。一人にじっくり渡したいなら高齢者向けナンプレ、卓ごとに手の速さの差があるならデイサービス向けナンプレ、季節の行事に合わせたいなら介護レク向けナンプレ、書く動作そのものを目的にするなら機能訓練向けナンプレが候補になります。難易度をそろえて配りたいときは、初級中級を単体で使う組み方もあります。

机の配置は、隣の人の手元が見える距離にするか、集中したい人には少し間隔を空けるか、その日の顔ぶれで決めます。どちらが正解ということはなく、その卓の人間関係に合わせて選ぶものです。名前や日付を書く欄がある紙は、配る前に見えるところへまとめて置いておくと、渡すときに一人ずつ説明する手間が減ります。

導入は1〜2分で終える

説明が長いと、話を聞いている間に最初の脱落が出ます。 ルールを伝えるのは1〜2分にとどめ、細かい例外は後回しにします。「今日は数字を1つずつ入れていくプリントです」「同じ数字は同じ段に2つ入りません」といった、その場で紙を見ながら分かる一言で十分です。

説明の途中で紙を配り始めてもかまいません。話を聞きながら手元の紙をめくる人が出てきますが、それは先に動いているだけなので、止めずに配り切ります。ルールを詳しく知りたいと言われたら、その場で長く話すより「分からなくなったら聞いてください」で区切り、個別に対応したほうが全体の流れが止まりません。より詳しい説明が要る場合はナンプレの解き方 基本テクニックを後で見せる方法もあります。

15分・30分・45分でどう時間を配るか

枠の長さによって、配分の考え方が変わります。

15分の枠は、導入1〜2分、書き込み8〜10分、答え合わせと片付けで残りという組み方が扱いやすい配分です。説明を長く取る余裕はないので、導入は最初から短く決めておきます。

30分の枠は、導入2〜3分、書き込み15〜20分、答え合わせ5分前後、片付けで残りという配分にすると、早く終わった人に次の1枚を渡す時間も確保できます。

45分の枠は、導入を2〜3分に抑えるのは変わりませんが、書き込みの時間そのものより「途中で1回卓を回って様子を見る」余裕を持たせる配分にします。長い枠ほど参加者ごとの進み方の差が開くので、途中で1回声をかけるタイミングを最初から予定に入れておきます。

いずれの枠でも、答え合わせと片付けの時間を先に確保してから、残りを書き込みに充てる組み方にすると、時間切れで片付けが慌ただしくなるのを避けられます。

本編の配り方 — 早く終わる人・手が止まる人

配る順は、名前を呼びながら1人ずつでも、机に着いた順でもかまいません。決めておきたいのは、全員に配り終えるまで職員が卓を離れないことです。配り終えた直後に手が止まる人が出やすいので、最初の数分は卓の近くにいる時間にします。

書き込みが始まったら、1周して様子を見ます。早く終わった人には、次の1枚を渡すか、同じ紙をもう一度見直してもらうかを選べるようにしておきます。手が止まった人には、正面から「分からないところは?」と聞くより、隣に座って紙を一緒にのぞき込むほうが声をかけやすいことが多いです。

数分経っても書き込みがまったく進まない人がいたら、無理に続けさせず、別の紙に替える、難易度の軽いものに替える、その回は見学に切り替えるといった選択肢を用意しておきます。声のかけ方そのものの工夫は、別のページ(レク中の声かけと難易度の下げ方)にまとめています。

終わり方 — 全員が終わるのを待たない

全員が同時に書き終えることは、まずありません。 終わり方を「全員が終わったら答え合わせ」と決めてしまうと、早く終わった人の待ち時間が延び、ゆっくり進める人にも急かされているような空気が伝わります。

扱いやすいのは、終わった人から順に、その場で職員と1対1で答え合わせをする組み方です。全員そろっての答え合わせは、時間に余裕がある回だけにします。時間内に終わらなかった紙は、その場で切り上げて次回に回すか、そのまま持ち帰ってもらうかのどちらかで構いません。

持ち帰りを希望する人には、名前を書いた紙をそのまま渡します。答え合わせをしていない紙を持ち帰ってもらう場合は、解答を渡すかどうかもその場で決めて構いません。複製してよい範囲は利用規約にまとめています。

片付けと記録

片付けは、使った紙・余った紙・使わなかった予備を分けて数えるところまでを範囲にしておくと、次回の準備が楽になります。何枚配って何枚余ったかを一言メモしておくだけで、次に同じ人数の回を組むときの目安になります。

その日どのくらいの時間で書き終えたか、途中で難易度を替えた人がいたかは、次回の紙選びに直結する記録です。細かく書く必要はなく、「Aさん途中で易しい方に交換」「Bさん今日は最後まで自力」くらいの一言で十分です。鉛筆や消しゴムの数を数えて補充しておくのも、次回の準備を短くする片付けの一部です。

うまくいかないとき

人数が想定と違うときは、多い分は予備の紙で、少ない分は余った紙を次回に回せば済みます。人数の増減そのものより、鉛筆や下敷きなど道具の数が人数に足りているかを先に確認します。

道具が足りないときは、鉛筆は他の活動で使っているものを一時的に借りる、下敷きは厚紙やクリアファイルで代用するなど、その場でしのげる工夫で十分です。紙が足りなくなったら、無理に人数を合わせず、2人で1枚を見ながら進めてもらう形に切り替えられます。

興味を示さない人がいる場合、その回は無理に参加を促さず、他の人に紙を配り終えてから改めて様子を見ます。今日は気分が乗らないという日は誰にでもあることなので、次の回に別の紙で誘い直せば十分です。