上の表をどう読むか
この10枚は、必要な解き方が1種類しかありません。唯一候補法だけで、最後のマスまで埋まります。 「隠れ唯一候補法」——数字の側から入る場所を数える手筋——すら1問も出てきません。 ロックされた候補も、ペアやトリプルの仲間も、当てずっぽうで置いて戻すことも不要です。
不思議なのは手がかりの数です。中級10枚の手がかりは26〜30個・平均28個、 上級10枚は26〜31個・平均29個で、この2つはほぼ同じ幅に収まっています。 ところがこの初級10枚は28〜33個・平均30個と、中級・上級よりも手がかりが多い側に寄っています。 必要な解き方がいちばん少ないのに、手がかりはいちばん多い。一見当たり前に思えますが、 中級と上級を比べると手がかりの数と必要な解き方の順位は噛み合っていません。 「手がかりが多いほどやさしい」がそのまま成り立つのは、この初級とその他を分ける場面だけです。 中級と上級のあいだでは、手がかりの数だけを見ても難易度の順番はわかりません。
だからこのサイトでは、束から1枚選ぶときも手がかりの数ではなく、 必要な解き方のほうを見出しに出しています。この初級10枚が「唯一候補法だけ」と 言い切れるのは、10問全部を実際に解き直して確かめたからです。
初めてナンプレに触れる人に渡すときほど、この違いは効いてきます。 手がかりの数だけを見て「多いから易しいはず」と選んでしまうと、 中級と上級のあいだでは選び方を外します。必要な解き方の欄を見れば、 唯一候補法だけで済むこの10枚が、いま渡すべき束かどうかがそのままわかります。
初めてナンプレに触れる方はこのページから、慣れてきたら 中級に進んでください。
初級で手が止まったときの手順
初級で止まる原因は、ほとんどの場合ひとつです。空いているマスの候補を、 どこか1マスで書き漏らしているか、どのマスから見ていくか決めずに盤面を あちこち行き来しているかのどちらかです。ここでは候補の書き方から順を追って説明します。
1. 空いているマスに、小さく候補の数字を書き込む
いきなり答えを探すのではなく、まず空いているマスの余白に、 1から9のうち「まだ消せていない数字」を小さく書きます。 同じ段・同じ列・同じブロックのどこかにすでに入っている数字は、そのマスには入りません。 その3方向を見て、すでに使われている数字を一つずつ消していきます。 たとえば同じ段に2と5、同じ列に7、同じブロックに1と9があるマスなら、 残る候補は3・4・6・8の4つです。この時点ではまだ確定しません。
2. 候補が1つだけになったマスを探す(唯一候補法)
盤面の空いているマスを、左上から順に1マスずつ見ていきます。 候補を消していった結果、残った数字が1つだけになったマスがあれば、 それがそのマスの答えです。この10枚で必要な解き方は、これだけです。 先ほどの例で候補が3・4・6・8まで絞れたマスも、そのマスと同じ段・列・ブロックのどこかに 3・4・8が入れば、残るのは6だけになり、その時点で確定します。 消せるのは自分が属する段・列・ブロックにある数字だけです。 離れた列やブロックの数字は、そのマスの候補には関係しません。
3. 1マス埋めたら、その数字を周りの候補から消す
マスが1つ埋まったら、そこで終わりにしません。 同じ段・同じ列・同じブロックにある他のマスの候補から、いま埋めた数字を消します。 この消し込みを忘れると、次に候補が1つになるはずのマスが2つ以上残ったままになり、 「もう唯一候補法では進めない」と思い込んで手が止まります。実際は候補の消し忘れです。
4. 手が止まったら、最初のマスから見直す
1周しても候補が1つに絞れるマスが見つからないときは、新しい手筋を探す前に、 盤面の左上から順に候補を見直してください。どこかのマスで、 段・列・ブロックのどれか1方向を消し忘れていることがほとんどです。 書き漏らしを直すと、そこから連鎖的に候補が1つに決まるマスが出てきます。
5. 埋まったマスを起点に、もう一巡する
1マス確定するたびに全体を見直す必要はありません。 確定したマスと同じ段・列・ブロックだけを見直せば十分です。 それでも止まったら、盤面全体をもう一度左上から流し見て、 候補が1つになっているマスを探し直します。これを繰り返せば、 この10枚は唯一候補法だけで最後のマスまで届きます。
初めて解くときは、ブロックを1つ選んで、その9マスの候補だけを先に書き出す ところから始めると楽です。見る範囲が狭いぶん、候補を数えるのに慣れます。 ただしそのブロックだけで埋まりきることは、まずありません。 10問×9ブロックの90通りで試すと、そのブロックだけで埋まりきったのは6回でした。 候補を書く練習と割り切って、埋まらなければ盤面全体に戻ってください。
迷ったときは焦って新しい手筋を探さず、候補の書き漏らしと消し込み漏れの 2つだけを疑ってください。この10枚に限っては、それ以外の理由で止まることはありません。
候補の書き方や消し方をもう少し図つきで確かめたい方は ナンプレの解き方 基本テクニックをどうぞ。 唯一候補法だけでは足りない盤面に挑みたくなったら、 隠れ唯一候補法まで必要になる中級に進んでください。
この盤面はどう作っているか
「やさしいまま」に作るのは、実は難しい抜き方です。
数字を抜けば抜くほど、候補は複数のマスにまたがって絡み合い、 唯一候補法だけでは埋まらないマスが出やすくなります。逆に抜く数を絞りすぎると、 今度は手がかりが多すぎて解く楽しみが薄い盤面になってしまいます。 「唯一候補法だけで最後まで解ける」という一線を保ったまま、 できるだけ抜く。この釣り合いを保つのが初級の作り方です。
抜くたびに解き方を全部洗い出して、唯一候補法だけで最後まで届くかを確かめます。 届かなくなった時点で、いま抜いた数字を元に戻します。 答えが1通りしかないことも、同じように毎回すべて数えて確かめます。
この一線が、実際に手を止めています。 この10枚では278組を元に戻しましたが、そのうち36組が「唯一候補法だけでは足りなくなるから」戻したものです。 戻した理由の 12.9% です。
中級では、戻した430組のうち同じ理由はわずか 2.3%。 易しさを守るという条件は、初級でいちばん強く効いています。 この10枚の手がかりが他の難易度より多い側に落ち着いているのは、その結果です。
検算のしかたと、難易度をどう測っているかの共通の仕組みは 問題・線画の作り方にまとめています。