最初に見るのは難しさではなく「手が止まらないか」
「初級」「中級」という表示は、束を選ぶ最初の目安にはなりますが、それだけで決めると外れることがあります。同じ「初級」でも、盤面によって実際に必要な解き方は違うからです。当サイトの各ページは、ラベルだけを付けて終わりにせず、その束の10問を実際に1問ずつ解き直した結果を、盤面の下と本文の両方に載せています。必要な解き方が唯一候補法だけなのか、隠れ唯一候補法まで要るのかは、解いてみないと分からないことなので、作る側で先に確かめて表にしてあります。
選ぶときにまず見てほしいのは、この「実際に解いた結果」の欄です。表示上の難易度名が同じでも、そこに書かれている解き方の名前が1つだけの束と、2つ以上並んでいる束では、渡した相手の手が止まる可能性が違います。迷ったら、解き方の名前が少ない束から選ぶのが安全です。
同じ種類の中でも、束によって並んでいる解き方の名前の数は変わります。名前が1つだけの束は、盤面のどこから手をつけても同じ考え方で最後まで進められます。名前が2つ以上並ぶ束は、途中で見方を切り替える場面が挟まるということなので、初めて渡す相手には向きません。表示された名前の数を、束どうしを比べる物差しとして使ってください。
マスと文字の大きさで選ぶ
同じナンプレでも、版面によってマスの大きさが違います。通常の版面は1マス17mm角で組んでいますが、高齢者向けに作った版面は1マス18.5mm角と、一回り大きく組んであります。マスが大きい分、罫線も太くしてあるので、離れた位置からでも枠の区切りが見やすくなります。
老眼鏡ごしで見る、部屋の照明が手元まで届きにくい、といった環境で使うなら、18.5mm角の版面を優先してください。逆に、視力にあまり不安がなく、1回でより多くの問題数をこなしたい相手には、17mm角の通常版でも支障はありません。マスの大きさは、見た目の印象で選ぶのではなく、実際に配る相手の見え方に合わせて選ぶ項目です。
コピー機で重ねて複製すると、罫線が細い版面ほど線がかすれやすくなります。マスの大きい版面は罫線も太くしてあるので、複製を重ねても線が消えにくいという実務上の違いもあります。何度もコピーして配る予定があるなら、この点も選ぶ材料になります。組版の実測値や、文字をどこまで大きくしているかの詳しい根拠は問題・線画の作り方にまとめています。
枚数と所要時間の見積もり方
10枚の束をそのまま1人に渡す必要はありません。当サイトの束には、デイサービス向けのように初級・中級・上級を混ぜて1つの束にしているものと、介護レク向けのように4×4と6×6を半分ずつ組み合わせているものがあります。参加する人たちの様子に幅があるなら、最初から混ざっている束を選ぶと、渡す紙を選び直す手間が減ります。
かかる時間は、各ページに「目安」として載せていますが、あくまで目安であって、そのとおりに終わる保証ではありません。同じ紙でも、早く終わる人と時間のかかる人が必ず両方出ます。見積もりを立てるときは、目安の時間をそのまま予定に当てはめず、早く終わった人に渡す予備の1枚を用意しておくところまでを含めて考えてください。
束の全部を使い切る必要もありません。10枚のうち何枚を使うかは、その回の時間の長さに合わせて決めてかまいません。使わなかった残りは、次の回に持ち越せます。時間が短い回ほど、枚数を絞るのではなく、1人あたりに渡す紙の難易度を軽くする方向で調整すると、途中で時間切れになる場面を減らせます。
書く量で選ぶ
紙に書き込む量も、選ぶときの軸になります。ナンプレは空いたマスに数字を書き込む構成で、盤面が大きいほど書き込む回数も増えます。今後種類が増えれば、線を引く、色を塗る、丸をつけるといった、書く量や手の動き方が違うプリントも並ぶ予定です。数字を書く動きと、線をたどる動き、面を塗る動きでは、手にかかる負担も、続けやすさも変わります。
丸をつける動きは、線を引く動きより動かす範囲が狭く、短い時間で区切りをつけやすい動きです。長く机に向かい続けるのが難しい相手には、こうした短い動作で完結するものから試すという選び方もできます。相手がどの動きなら続けやすいかを見てから、書く量の多いものと少ないものを使い分けてください。
初めて渡すとき
ナンプレに初めて触れる相手には、いきなり9×9の盤面を渡さないでください。4×4のミニナンプレは、数字が1から4の4つだけで、ブロックも2×2の正方形なので、ルールをその場で指さしながら一文で説明できます。4×4に慣れたら、次は6×6のミニナンプレに進みます。マスは36に増え、ブロックが正方形でなくなる分、少しだけ見る範囲が広がりますが、9×9に進む前の1段階として使える大きさです。
最初の1枚でルールの説明に何分もかけると、説明だけで気持ちが離れてしまいます。一文で説明が済む盤面から始めて、慣れてから盤面を大きくする順番を守ってください。同じ大きさの盤面をもう一度渡してもかまいません。1回で次の大きさに進めなければいけない決まりはなく、慣れるまで同じ段階に留まる方が、途中で手が止まるよりも先につながります。
選んではいけない渡し方
紙選びそのものが、渡す相手を気まずくさせることもあります。本人の目の前で「これはやさしい方だから」と言い直すのは避けてください。渡す前に難易度を選び終えておき、渡すときは名前を呼んで手渡すだけで十分です。
前回より易しい紙を、理由を伝えずに黙って渡すことも避けてください。前と違う紙だと気づいたときに、なぜ変わったのかが分からないまま気にしてしまう人もいます。難易度を変える理由が特にないなら、同じ種類の束から続けて選ぶ方が、相手にとって余計な詮索を生みません。周りの人と紙を見比べて「あの人はもっと難しいのをやっている」と口に出すことも、渡す側からは控えてください。
終わった紙を、本人の同意なく他の人に見せて答え合わせをさせることも避けてください。答え合わせは、渡した職員と本人の間で完結させるほうが、紙の出来を周囲と比べられる場面を作らずに済みます。紙の選び方は、選んだ側の判断であって、渡された側が比べるためのものではありません。